住宅瑕疵保険とは?仕組みや費用について
新築され、引き渡された住宅で、ある部分の性質や機能が約束通りのものでない場合のことを、瑕疵と言います。
例えば、現在では新築する際には、建築基準法が定めた規格をクリアしていなくてはなりませんが、それができていない状態は瑕疵になります。
この場合、瑕疵責任と言って、売主また施工業者は約束通りの機能を確保するための施工を行う必要があります。
では、このような瑕疵の保険とはどのようなものでしょうか?
ここでは住宅瑕疵保険の特徴、仕組み、それに入ることのメリットなどを紹介していきます。
住宅瑕疵保険とは
新築住宅の耐震性と雨水の侵入を防ぐ部分において瑕疵があった場合、その機能回復のための補修を行うための費用を施工業者は用意しなくてはなりません。
その費用確保のための措置が住宅瑕疵保険になります。
瑕疵があった場合に費用を捻出することができない、といったことに陥らないための保険です。
保険の対象部分
通常、瑕疵というと、住宅全体において欠陥のある部分を指しますが、瑕疵保険の対象となるのは、上記にあげたように耐震性と雨水の侵入を防止する部分を指しています。
保険期間
原則的に10年間とされていますが、共同住宅の場合は引き渡し日により多少の増減があります。
保険金が支払われるケース
まず挙げられるのは、当然、耐震性・防水性において瑕疵のあった場合です。
施工業者が瑕疵責任に基づいて補修を行った際には、施工業者に保険金が支払われます。
また、施工業者が倒産してしまって、瑕疵があるにもかかわらず補修できない場合には、住宅の買主に保険金が支払われます。
主な保険金
支払われる保険金の種類は以下のようになっています。
- 修補費用:材料費や人件費のこと。
- 仮住居費用・転居費用:居住者が補修の間に移転する場合の費用。
- 損害調査費用:補修が必要な範囲や補修金額を決めるのに必要な調査費用。
法的整備は?
2009年に住宅瑕疵保険法が施工されました。
この法律に基づいて、新築住宅を施工する業者は住宅瑕疵保険に入ることが明記されています。
どこの保険会社に入るのか?
住宅瑕疵保険を扱っている会社は複数ありますが、特定の団体・会社に限られています。
国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人に限られていて、以下のような団体・会社が扱っています。
- 株式会社住宅あんしん保証
- 住宅保証機構株式会社
- 株式会社日本住宅保証検査機構
- 株式会社ハウスジーメン
- ハウスプラス住宅保証株式会社
これらの団体・会社に施工業者が保険の加入を申し込みます。
入らないとどうなる?
住宅瑕疵担保履行法によって、瑕疵責任に対応するための資力確保が義務付けられていますので、入らないというわけにはいきません。
このような義務とされている保険を1号保険と言います。
新築住宅で建築完了から1年以内に買手に引き渡された住宅が対象になります。
ただし、買手が施工業者でなく宅建取引業者である場合には、資力確保義務が生じません。
保険に加入する場合には任意保険になります。
任意保険は2号保険と呼ばれ、以下のような内容になっています。
- 建設工事の完了の日から1年を超えて引き渡された住宅
- 建設工事の完了の日から1年を超えて売買契約の締結がなされた住宅
- 建設業許可を有しない事業者が建設した住宅
- 住宅取得者が宅地建物取引業者である住宅
費用は?
施工業者が倒産した場合の保険金額
住宅に瑕疵があったのに、施工業者が倒産していて補修が履行されない場合、施工業者が加入していた住宅瑕疵保険の保険法人に連絡すれば、必要な補修費用が支払われることになります。
施工業者が倒産した場合には、原則的に補修費用の全額が支払われることになります。
ただ、支払われる保険金額には上限が設定されていて、2000万、3000万、4000万、5000万のうちいずれかを選ぶことが出来るようになっています。
施工業者が支払う保険料
施工業者が支払う保険料は、床面積に応じて高低があります。
例えば床面積120平方メートルの戸建て住宅の場合、
保険料46,000円(1年間)+現場検査手数料24,000円(年2回)=68,000円
といった金額になります。
まとめ
住宅瑕疵保険は消費者を守る保険と言われているように、住宅を取得した人が瑕疵を発見した際に、自ら補修費用を負担したり、施工業者がなくなって泣き寝入りになったりしないようにするための保険です。
保険の種類には新築以外でも、リフォーム瑕疵保険、既存住宅瑕疵保険、大規模修繕瑕疵保険など、いくつかの種類が用意されていて、利用者のニーズに応えることができるようになっています。