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借主負担DIY型賃貸のメリット・デメリットと注意点

現在、日本では高齢化社会や人口減少が進行しているために、空き家率の上昇が問題になってきています。

高齢者が子供の家に引っ越して3世代で暮らしたり、または介護施設に住居を移したりすることが増えており、また郊外や地方都市でも若い世代の転入が少なくて、人口の自然減少が進み、ともなって空き家率の増加につながっているようです。

この空き家ですが、従来は貸し主が賃貸に出すにあたって、借り主を確保するためにさまざまな改築・改修をすることはありましたが、借り主の側でそういったことを行うことはありませんでした。

このような状況を受けて、近年普及し始めているのが借り主負担DIY型の賃貸です。

ここでは、最近になって行われるようになってきた、この借り主負担のDIYによる改築・改修の事情や、その時の注意点、メリット・デメリットなどを解説していきます。

通常の不動産賃貸借との違いは?

借り主負担のDIYを見る前に、その特徴をよく理解するためにも、まず一般の契約方法を見てみましょう。

通常は、修繕に関することは貸し主が負担します。

借り主に部屋を渡す前に修繕を施しておきます。
それが契約期間を終えて部屋を明け渡すときには、借り主の負担で部屋を原状回復させる必要があります。

原状回復とは、借り主の故意・過失によって損耗したものを修繕して貸し主に返すことを指します。
ただ、どこまでが借主の過失によるもので、どこまでが自然な経年変化による損耗なのかをめぐるトラブルが相次いで起きてきました。

また、借り主による過失がなければ、経年変化などによる損耗は貸し主が負担して修繕しなくてはなりませんが、これが負担となって空き家のままとなり、賃貸に出せない原因になっていました。

借り主がリフォームできる

このような状況を考慮して、借り主が自らDIYを施した後に入居するスタイルが増えてきました。

DIYとは借り主自身が修繕することを意味するので、これによって貸し主が修繕する負担が軽くなり、賃貸に出すことが可能になるケースが増えるようになったのです。

一方で、借り主は自分の好みに応じてDIYによるリフォームをすることができ、部屋を明け渡す時に原状回復をする必要がないので、その分の負担を強いられることなく、借りることができるようになります。

通常の賃貸契約では、リフォームは貸し主しかできないものでしたが、これによって借り主がリフォームすることができるようになりました。




双方のメリット・デメリット

DIY型にすることによる貸し主・借り主へのメリットは大きいものがありますが、いくつか主だったものをあげてみましょう。

貸し主側のメリット

  • 貸し出す前の修繕費用を負担しなくてもよい(主要な構造部分の修繕は負担する)
  • 入居中でも修繕は借り主負担で行ってもらえる
  • 借り主が自分で修繕費用を賄うので、長期間の入居の可能性が増す

貸し主側のデメリット

  • 借り主の好みでリフォームされるために、次の借り主がみつかりにくくなる可能性がある
  • 相場よりもやや低い賃料設定になる

借り主側のメリット

  • 原状回復のための費用が取られない
  • 自分の好みに応じて模様替えなど行える
  • 賃料が相場よりも安くなる
  • 自分で修繕するので(DIY)、修繕費用を抑えることができる

借り主側のデメリット

  • 場合によっては修繕費用が予想より高くなることもある
  • 賃料が抑えられても、その後の維持費用が高くつくことがある
  • DIYで行うので不具合や安全性に不安が残りやすい

トラブルを避けるための注意点

上記のように、多くのメリットがあげられる借り主負担のDIY型ですが、注意しなければならないポイントもいくつかあります。

リフォーム内容を貸し主に伝える

いくら自分好みのリフォームができるといっても持ち家ではないので、いくつかの点では貸し主に事前報告しなければなりません。

例えばコンセントの増設や配線の分岐の追加、床材の張り替えなど、安全に関わりそうなものは報告しなくてはなりません。

電気工事などを素人が行うと、漏電などによって火事になる可能性もあります。
いくら費用を抑えるためとはいっても、危険性のある工事は業者に依頼するようにしましょう。

また、貸し主との間でのトラブルを避けるためには、事前にある程度のDIY予定を話しておくのが良いでしょう。

騒音の出る工事

自分で行う工事の中には、電気工具を使用するものもあるでしょう。
大きな音の出る場合は隣人などに迷惑がかかりますので、事前報告が必要になります。
もちろん、深夜や早朝の工事は避けるようにしましょう。

まとめ

国交省でも推進されている借り主負担のDIY型賃貸ですので、今後も普及していくことが予想されます。

普及していく過程ではさまざまなトラブルが想定できますので、国交省も契約書式として「賃貸借契約の特約の例文」「申請書兼承諾書・別表」「合意書」の3つの書面を使用することを勧めており、例文を提示しています。

特に国交省住宅局 住宅総合整備課 賃貸住宅対策室の発表している「DIY型賃貸借のすすめ」では、手順や注意すべき点などガイドラインが記載されていますので、参照してみるのもいいでしょう。




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