家・土地・マンション(不動産)は売却・生前贈与・相続のどれがいい?
親名義の家や土地、マンションなど不動産を子どもに譲る事例について考えてみましょう。
血の繋がった親子でも、不動産を無償で譲ることはできません。
財産として不動産をタダで子どもにあげよう。というのは無理です。
必ず売却・贈与・相続のいずれかによる名義変更が必要です。
親から子へ名義変更、節税効果が高いのは?
売却・贈与・相続、どれが一番お得なのか?というのは個々の状況によって異なるため、それぞれのパターンで計算してみないと分かりません。
売却・・・利益が出た場合のみ、所得税・住民税がかかる
贈与・・・贈与税がかかる
相続・・・相続税がかかる
売却
売却時の税額を知るためには、いくらで売れるのかを知る必要があります。
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売却の場合、利益が出なければ税金はかかりません。
ただし、親子だからといって、相場よりも極端に安い金額で売買すると贈与と見なされ、贈与税の対象となり、「子どもだから激安特価で譲ってあげよう」というのは通用しません。
利益が出た場合は、利益額に応じて所得税と住民税の税額が変わります。
また、不動産の所有期間が5年以下の場合と5年を超える場合とでは、税率が異なります。
※税率についてはこちら
売ったのに相続と見なされるケース
生前に不動産を売却し、売れたお金を不動産所有者が全て使うことなく、一定金額を手元に残して死去した場合。
残った金額が基礎控除を上回ると、相続税の対象となります。
売却による利益額が多い場合は、相続の方がお得になる場合もあったり・・・
なんだか、ややこしいですよね。
贈与
相続税を避ける作戦で、生前贈与を選ばれる方もいらっしゃいますが、贈与税は相続税よりも税率が高く設定されているため、一概にお得とは言えないのです。
不動産取得にかかる税金・・・不動産取得税
登記にかかる税金・・・登録免許税
平成27年以降の贈与税率は「一般贈与財産」と「特例贈与財産」とに区分されます。
年間110万円までは非課税(基礎控除)となり、それを超えると以下のように課税されます。
【一般贈与の場合】夫婦間、兄弟間、子が未成年者の場合の親から子への贈与
基礎控除後の課税金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | なし |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1500万円以下 | 45% | 175万円 |
3000万円以下 | 50% | 250万円 |
3000万円超 | 55% | 400万円 |
【特例贈与の場合】60歳以上の親(祖父母)が20歳以上の子(孫)への贈与
基礎控除後の課税金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | なし |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1500万円以下 | 40% | 190万円 |
3000万円以下 | 45% | 265万円 |
4500万円以下 | 50% | 415万円 |
4500万円超 | 55% | 640万円 |
特例贈与の場合で、実際に計算してみましょう。
贈与財産の価格が500万円の場合
基礎控除後の課税価格 500万円-110万円=390万円
贈与税額の計算 390万円×15%-10万円=48万5千円
※贈与税の計算と税率
その他の控除について
●居住用不動産(家やマンション)の場合は、同居する配偶者や親族への贈与で、基礎控除の他に最高2000万円の控除があります。(土地には控除がありません。)
●また、相続時精算課税制度といって、60歳以上の親(祖父母)が20歳以上の子(孫)に贈与する場合は、2500万円の控除があります。
ただし相続時精算課税制度を利用して、一時的に税金を納めなくて済んでも、親の死後、贈与時の不動産評価額に基づき、他の相続財産と併せて課税されます。
なんだ、後から税金を納めるなら、どっちでもいいんじゃないの?という話になりますよね。
ですが、この制度にもメリットはあります。
相続税の課税額は贈与時の時価で計算されるため、相続の際に贈与時より不動産の価値が上がっていれば節税になります。
将来的に開発が進む予定の土地など、価値が上がると予想される場合には、生前贈与がお得になる場合もある、ということですね。
こればかりはホント、ケースバイケースなんですね。
相続
相続税にも基礎控除があり、不動産の評価額が基礎控除の金額以下であれば、課税されません。
3000万円+相続人の数×600万円
基礎控除額は、相続する人が1人の場合3600万円、2人の場合4200万円、3人の場合4800万円、4人の場合5400万円・・・となります。
ちなみに配偶者が健在の場合は、配偶者へ相続となり、その場合は1億6千万円の配偶者控除があります。
相続税率については以下となります。
各相続人が取得する金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000万円以下 | 10% | なし |
1000万円超~3000万円以下 | 15% | 50万円 |
3000万円超~5000万円以下 | 20% | 200万円 |
5000万円超~1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超~2億円以下 | 40% | 1700万円 |
2億円超~3億円以下 | 45% | 2700万円 |
3億円超~6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超~ | 55% | 7200万円 |
結局、どうするのがお得なの?
個々の条件によって、どうするのが一番節税に繋がるのか変わってきます。
実際に条件に当てはめてシュミレーションし、節税効果の高い方法で名義変更するのがベストです。
とはいえ、素人ではなかなか判断つきにくいところもありますよね。
ちょっと選択を誤ると、損してしまうことにもなり兼ねません。
専門的なことは税理士さんに相談して、具体的にアドバイスをもらうのがいいです。
税理士の無料紹介サービスでは相談内容を記載できる項目が設けられていて、該当する事例に強い税理士さんを無料で紹介してもらえます。