低炭素住宅とは?条件やメリット
世界中で二酸化炭素排出量の抑制が目指されていますが、その一環として行われているのが低炭素型住宅の奨励です。
これは二酸化炭素の排出を抑えた住宅のことで、「認定」と付く場合には、所管行政庁(都道府県、市又は区)から認定を受けたものになります。
ここでは認定炭素住宅の特徴、認定を受けるためのステップ、認定を受けたことによるメリットなどを紹介していきます。
炭素住宅とは?
簡単に言えば、通常の住宅よりも二酸化炭素の排出を非常に低く抑えた住宅のことです。
具体的に言えば、住宅に高い断熱性の持つ壁を設置すること、エネルギー消費量の少ない機器(エアコンや給湯器、照明)を設置していることなど、二酸化炭素排出の量を減らす工夫をしていることが挙げられます。
2016年に終了した、省エネ住宅に関するポイント制度(省エネ住宅ポイント制度)の代わりに発足された制度で、省エネ住宅をより普及させるために作られたものです。
認定を受けるには?
認定を受けるには、省エネルギー性、またその他の低炭素化に資する措置という、2つのポイントで評価を受ける必要があります。
難しそうに聞こえますが、誰もが認定を受けるのが可能になるように、それほど高いハードルにはなっていないようです。
省エネルギー性
2013年の改正省エネ基準よりも10%以上、二酸化炭素の排出率を抑えることがまず前提になります。
これをクリアするためには、冷暖房設備、換気設備、給湯設備、照明設備など、それぞれの設備に設定された基準を参考にして、総合的に評価した上で認定の是非が判断されます。
太陽光発電を利用した設備の設置や、エコキュートなどの省エネ機器も評価の対象になっています。
その他の低炭素化に資する措置
これは下の7つの条件のうち、2つ以上当てはまれば基準をクリアできるというものです。
- (1)節水に関する機器(節水トイレや節水水栓、食器洗浄機等)の導入
- (2)雨水または雑排水設備の導入
- (3)HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の導入
- (4)創エネルギー設備や蓄電池(太陽光発電など、再生可能エネルギーを利用した発電設備と、定置型蓄電池の設置)の設置
- (5)ヒートアイランド対策(敷地や建物屋上、壁面の緑化など)の実施
- (6)住宅劣化の軽減に資する措置(劣化対策等級2)
- (7)木造住宅であること
最後の(7)については、ほとんどの戸建て住宅が当てはまるでしょうから、あとひとつだけクリアできれば基準を満たすことになります。
ちなみに、自宅から勤務地や買い物する場所が遠いと、それだけ乗用車や公共交通の利用が増えるため、省エネや排出量削減につながらないという理由で、認定を受けるには市街に建てるということが前提になっています。
認定を受けることのメリットは?
住宅ローンの控除
認定のメリットで最大のものは、ローンの優遇制度でしょう。
特に住宅ローンの控除は利用者にとって大きな魅力です。
一般の住宅の場合は、住宅ローン控除の限度額が3000万円なのに対して、認定を受けた場合は5000万円になります。これは長期優良住宅と同じ限度額です。
控除率は1%になりますので、年間で最高控除額は30万円、10年間で考えると300万円にもなりますので、大きなメリットと言えます(最大控除額は500万円)。
金利の優遇
上記と同じく住宅ローンについてですが、フラット35Sという優遇金利ブラン(金利Aプラン)受けることができるようになり、建築当初の10年間で通常の金利より0.3%引き下げられることになります。
税制面での優遇
固定資産税が3年間は半分にされ、また不動産取得税に関しても最高で1200万円が控除されます。
登録免許税についても、一般住宅で0.15%のところが、0.1%に軽減されます。
容積率不算入
建物には、敷地面積に対する延べ床面積の割合が決められていて、設定された上限以上には延べ床面積が作れないことになっています。
認定を受けると、延べ床面積として扱われないスペースが増えるため、より広いスペースを確保することができるようになります。
例えば、省エネ給湯器の室外機やバッテリーは床面積に含まれなくなり、そのぶん他の床面積に使うことができます。
ランニングコストの抑制
このメリットは、住宅ローン控除や容積率不算入が間接的なメリットなのに対して、より直接的なメリットといえるでしょう。
というのも、照明やエアコンといった生活に必要な機器のエネルギー消費量が抑えられているのですから、当然、電気代やガス代などの光熱費も安く済ませることにつながります。
まとめ
もちろん、認定を受けるためにはそれなりの初期コストがかかります。
ただ、そのコストといっても、上にあげた7つの条件を見てみると、かなりクリアできる可能性が高いものということがわかります。
そのため、初期コストのデメリットよりも、ランニングコストのメリットの方が大きくなることが考えられます。
都合が許せば、低炭素住宅の認定を目指す方が、得策と言えるかもしれません。