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3世代同居のためのリフォームと優遇制度【補助金・減税】

高齢化社会と言われて久しいですが、行政においても内閣を中心に、さまざまな対策が打ち出されています。

住宅関連でもいくつかの対策が出されていますが、そのうちの1つに3世代同居に対する施策があります。従来にも優遇補助金制度がありましたが、新たにリフォーム減税措置が加わりました。

こういった高齢化社会に対する施策が続いていることの背景には、核家族化が進み、子どものいる世帯の父母の負担を軽くしようとする意図があります。

特に、現在のように保育園不足や低賃金の進行している中で、なんとかこの流れに歯止めをかけようとする行政側の反応が、一連の政策となって現れていると言えるでしょう。

ここでは、3世代同居における優遇補助金制度やリフォーム減税について、適用されるための条件、適用あれた場合の内容、注意すべき点などを解説していきます。

3世代同居住宅の補助金制度について

「3世代同居」と聞くと、高齢化社会への対応策という印象を受けるかもしれません。
そういった意図はあるにせよ、最たる意図はサステナブル社会を目指した制度となっています。

つまり環境問題に配慮した制度となっており、その証拠に正式な名称は「三世代同居に対応した良質な木造住宅の整備の促進」と言います。

この制度は「地域型住宅グリーン化事業の拡充」という事業の一環という位置付けで、長期使用という面で環境に配慮された住宅に関して補助を出すというものです。

この「地域型住宅グリーン化事業の拡充」という制度は、ある条件に見合った住宅に対して、一定の金額を補助するものになっています。

詳細を下に記載すると、

  • 1:長寿命型(長期優良住宅)の3世代同居対応住宅
  • 建設工事費の1割以内の額で、一戸につき130万円、また地域材を使用する場合については一戸につき150万円を上限として助成する。

  • 2:高度省エネ型(低炭素住宅)の3世代同居対応住宅
  • 建設工事費の 11割以内の額で、一戸につき130万円、また地域材を使用する場合については一戸につき150万円を上限として助成する。

  • 3:高度省エネ型(ゼロ・エネルギー住宅)の3世代同居対応住宅
  • 建設工事費の 11割以内の額で、一戸につき195万円、また地域材を使用する場合については一戸につき215万円を上限として助成する。
    ※ 柱、梁、桁、土台の過半において都道府県の認証制度等により産地証明等がなされている木材を使用する場合に限る。

つまり、環境に配慮された住宅であれば助成し、なおかつ地元産の建設材をたくさん使用した住宅であればさらに助成金を上乗せ可能とする制度です。ここには地産地消を目指す行政の思惑も見えています。

この制度は上記のようにまとまった金額が助成される制度であったにもかかわらず、あまり浸透しませんでした。

というのは、この制度を利用するには、住宅を購入した人が申請するのではなく、この制度の認可を受けた工務店など施工業者が申請する必要があります。

さらに、この制度は大手のハウスメーカーは認可の対象外となっているため、地域の中小の工務店だけが認可されるというのも、浸透しなかった理由の1つです。

中小の工務店では、この制度を利用できるという宣伝が大規模にはされなかったため、それほど周知されなかったようです。




補助金制度の利用方法

周知されていないとはいえ、上記のようにまとまった助成金が得られますので、住宅購入者にとっては大きなメリットがあります。

その利用のためには、まず認可を受けている工務店を調べ、その工務店と、どのように地域材を盛り込んでいくかの打ち合わせをする必要があります。これを踏まえて国に申請し、助成金を申請するという流れになります。

なお、住宅建設においては地方自治体によってもいくつかの補助制度がありますが、その補助が国からの補助を受けていない限り、地方自治体の補助制度との併用が可能になります。

優遇制度の施行

従来の3世代同居の補助金制度に続き、平成28年の税制改正によってリフォームの優遇制度が施行されました。

これは、所得税と相続税に関するもので、認可されればリフォーム費用をそれらの課税額から控除できるものです。

所得税に対するリフォーム減税

まず所得税に関するものを見ていきましょう。
所得税に対するものは、さらに2つのタイプに分けられます。

(1)ローン型

3世代同居を目的として、キッチンや廊下、バス・トイレなどのリフォーム工事を行った時に、年末時点でのリフォームローンの残高に対して、リフォーム費用の2%を所得税額から5年間控除できるという内容になっています。

また、3世代同居に直接関わらなくても、間接的にでも関係ある工事であれば1%の控除が認めらます。

5年間という期間が設けられている理由としては、一定期間での同居を前提としているためで、この優遇制度を他の目的で利用することを防止することを含んでいます。

ただし、以下のような条件があります。

  • 住宅の所有者を含め、3世代が現にそこに居住していること
  • 同居する住宅の所有者の子又は孫が、同居開始時点において中学生以下であること
  • 所得金額が3000万円以下であること
  • リフォームローンが5年以上の償還で設定されていること
  • 工事後の住宅の床面積が50平方メートル以上であること

さらに大事なことは、以下のいずれかを増設する工事を含まなければならないということです。

  • キッチン
  • 浴室
  • トイレ
  • 玄関

つまり、上記のものが工事の後には2つ以上になっていなる必要があります。

なお、本当に3世代が同居をしていることを証明するために、毎年住民票を提出する必要があります。

(2)投資型

ローンを利用しないで、3世代同居を目的としたリフォームを行った時の優遇制度です。
これは、リフォーム費用の10%をその年の所得税から控除することができます。

ただし、適用されるリフォーム費用の上限額は250万円となっています。

条件はローン型と一緒になっており、そのまま適用されます。

相続税に対するリフォーム減税

次に相続税に関するものを見てみましょう。

この制度は、3世代が相続開始時点で同居していて、また同居期間が3年以上であることが、まず前提となります。
その上で、被相続人の所有する居住用宅地を相続により取得した場合、9割という大幅な金額が減額されることになります。

ただ、宅地の全面に適用されるわけではなく、400平方メートルを上限としていますので、広い敷地をもつ住宅の場合には、かなり限定的な減額面積となるでしょう。

また、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 生前同居親族に子がいること(被相続人にとっての孫)
  • 生前同居親族の子が被相続人と当該宅地に3年以上同居していること
  • 同居開始時点において生前同居親族の子が中学生以下であること

このように、条件は所得税の優遇制度とほぼ一緒になっています。

相続税に対する減税は従来も行われていたのですが、減額割合は80%となっていました。これが今回の改正では90%となっていますので、より3世代同居を優遇しようとしている意図が読み取れます。

施行期間を確認する

以上のように、高齢化社会や少子化問題についての優遇制度は、年々強化されてきています。今後もこの傾向は続くように思いますが、各優遇制度は基本的に施行期間が決まっています。

例えば、3世代同居のためのリフォームにおける所得税控除制度は、平成31年6月までの制度となっています。

適用可能な制度があった場合には、その制度がいつまでのものなのかも確認しておくのがいいでしょう。




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